長野オリンピックでの金メダル後
「金メダルを取っても自分を極(きわ)めたとは思えなかった。僕の目的は、人間の未知の能力を探り当てることだと気づいたんです」
彼は腰を痛めた。1月は最悪の状態で、、かがんで靴下をはくこともできなかった。きたえ上げられた最高の体。最高の技術。まれに見る精神力。しかし、どんなスーパーマンも傷を負(お)う。体も、そして心も。
「体への絶対的な自信をなくしていた」
「この3カ月間は精神的においつめられていた」
それでも彼は敗北者(はいぼくしゃ)にはならない。
「もうダメかって思ってました。だけどここでやめたら、4年間が無駄(むだ)になりますから」
銀
「こういう状態で金メダルを取れてこそ本当の実力者」
ベストをつくす
「レースの内容は納得(なっとく)いくものじゃなく、やはりくやしい。」
「出来る範囲(はんい)内で今季のベストを尽(つ)くせた。満足です。」
清水は、次のオリンピックも目指すという。
「これからの4年? どんどん世界記録を縮(ちぢ)めていきたい」
「鍛えれば鍛えるほど体は進化し、追い込めば追い込むほど人間の潜在(せんざい)能力は上がる」
ソルトレークの銀メダルの価値は何かと質問され、清水選手は答えている。
「競技者はケガすることが一番、大変。精神的にも不安定になる。
でも、『あきらめずに、いかに自分を保つか』。スポーツ選手に役立つ、良い方向性が見いだせればいいなと思う」